2021年1月3日、最愛のパートナーが死んだ。
人が死ぬと何が起こるのか。それを忘れることのないよう、ここに書き記します。
彼の死の経緯について
生前の彼を知っている人は、誰しもが「なぜ」と思ったはずです。
我々のTwitterを見ていればわかるように、毎日のように何かしら作って自慢げにアップしてたし、楽しそうに遊んでた記憶しかないだろうから。
ただ、現実はTwitterから連想されるようなキラキラしたものではなく、鬱の私が「このままじゃ共倒れになってしまう」と焦るぐらいには彼は弱っていました。
そんな状態の彼を「私がうまくやれば救えるだろう」と、病院に連れていかなかったのは私の明確なミスだと考えています。
私のこと散々病院(心療内科)に連行しようとしておいて、すぐに病院が必要だったのは彼の方だったというわけでした。
…そんな彼を死に追い込んだ大きな原因は、コロナによる経済難と、ゲームに対する狂った向き合い方だったと考えています。
それについては、また後の項で。
人が家で自殺すると何が起こるのか
遺体の第一発見者だった私は、慌てて父に電話をかけ、
「とりあえず救急、119番!」
この段階で、既に私は「きっともう助かるものじゃない、彼はもう死んだものとして切り替えなきゃいけない」と思い、メンタルをガチガチに武装していました。
どれだけ悲しもうと、声をあげようと、彼は帰ってこない。
だったら、少しでもこの先の手続きがスムーズに進むよう、冷静に立ち回ろう。
…ということを考えていたら、彼の死の状況を調べにきた警察の方に「冷静すぎて逆に怪しい」と疑われました。ここは笑うところです。
まあ、朝起きて最愛の旦那ないし嫁が首吊ってたら、大抵の人は取り乱しますよね…
余談ですが、警察の方に殺害を疑われたということをフォロワーに話したら、「るのさん(私)に限って殺すわけない!!」って言われました。ここも笑うところです。
…で、無事彼の部屋の捜査も終わり、遺体は警察に引き取られていきました。
検死が終わり死亡診断書が出ないことにはなんの手続きもできないので、それが完了するまではたまたま暇だった友人が泊まりに来てくれました。
おそらく、残された人が1人だった時に、一番キツいのはこの待たされる時間だと思います。
幸い、コロナ禍ではありますが頼れる友人が複数人いたので、私はどうにか乗り越えることができました。
正式に死亡診断書が出てから、役所や葬儀関係の手続きが進んでいくことになります。
しかし、ここからが私にとって本当の地獄の始まりでした。
「お前が息子を殺した」
親より先に死ぬことが一番の親不孝だということは、よく耳にするかと思います。
彼の死で一番ショックを受けたのは、やはり彼の母親…姑でした。
こうなった以上姑には連絡しなければならないので、捜査の空き時間にLINEで報告したところ、取り乱した姑から電話が。
前述の通り私はメンタルを武装していて超冷静だったので、彼が死んだ日の晩に集まって会議をした時には「冷たい」「上から目線だ」「無理矢理でも京都に行くことを止めさせれば」「私と姑がなんでも話せる関係になっていれば」…とまあ、散々な言われようでした。
実はこの段階で、彼の死の理由をある程度理解していたのは私だけで、父も含めて皆「彼は私の鬱や発達障害の面倒を見たせいで潰れて死んだ」と認識していました。
つまりその場に私の味方は誰もいませんでした。
助け舟を出してくれると思っていた父ですら、「お前が姑と最低限の付き合いすらしていなかったから」と私のことを責めました。
んなわけあるか。
こちとら姑の誕生日には毎年プレゼントを贈った(しかも彼やその兄弟は忘れてたらしく、当日にお祝いしたのは私だけだったらしい)し、彼の親戚の墓参りにも行ったし、姑がデートについてきたがったのも許してんだよ。
さて、お気づきでしょうか…「デートについてきたがる」姑です。
これまでもあまり関わりたくなかった姑が、彼の死をきっかけに真の姿を現したのです。
姑は“一昔前”で済ませられる人ではなかった
※ここからは私怨だらけになります(なんか需要ありそうだったのでまとめます)
私は発達障害、さらに「女性として扱われることを嫌がる」少し変わったジェンダーをしています。
彼とはいいパートナー関係を築いてきましたが、将来を見据えた付き合いとなると、どうしてもマイノリティであることを彼の親戚にカミングアウトする必要がありました。
しかし、姑は表向きは「家族として仲良くなりたいからなんでも話してね」としていましたが、実際は自分の価値観にないものを正しく受け入れたり、価値観をアップデートすることができない人でした。
カミングアウトを受けて表向きは受け入れる素振りを見せましたが、私から見て正しく受け入れられていると全く感じなかった上に、旅行中に自分の思い通りにいかずヒステリックになる姑を見て「この人には何も話したくない、相談したくないな」と思いました。
「自分の孫と旅行に行くのが夢」と語る姑を見て、私はきっと姑の夢を叶えてくれるだけの存在としか捉えられていないんだな、と悟ったのです。
本当にマイノリティのことを理解できてなくても、受け入れる素振りを見せておけばきっと私は自分に懐いてくれて、可愛いお人形(息子)を手放さずに済むのだと。
その日から、私は姑に心を閉ざしました。
大切な人の育ての親だからと最低限の敬意は払いつつ、それ以上の付き合いを徹底的に避けました。
…彼の死をきっかけに、「息子を奪った人」が「息子を殺した人」になってからは、「息子は自分のもの」という考えが顕著になった気がします。
というより、息子を殺した人は今後どうなっても構わないっていう考えが透けて見えるんですよね。
一度も噛み付かなかった私を褒めてほしい
実は2月14日は当初、彼の故郷で四十九日をする予定でした。
しかし、その一週間前に、父の会社に一通の手紙が届きます。
「四十九日は身内だけでやるので来なくていいです」
「姑が貯めた彼名義の口座があって、これ以上金をやりたくないから全額相続放棄してくれ」※銀行の手続きは私が進めてた
…いや、私が配偶者かつ喪主なんですが?
しかもこれらの内容を親戚に相談せず姑が勝手に言ってきたらしいです。
流石に非常識すぎて父は怒り心頭、私は怒りを通り越して笑いしか出てこない…
これまで私や父は、子を亡くした姑に気を遣って、これまでの姑の非常識な行動に対してもできるだけ冷静に、かつ下手に出て接してきました。
それがこの仕打ちです。ふざけんなよと。
この先数十年を共に生きていこうと誓った最愛のパートナーを亡くした私と、自殺のせいで不動産の価値を大暴落させられた父の気持ちを全くもって理解していない…
これ以上は書ききれないので箇条書きにしますが、マジで「お前よく姑に噛み付かなかったな」って思えることを山ほど受けてきたので、怖いものが見たい人はどうぞ。
前提として、彼は3兄弟の3男で実家を最後に出ており、長男も既婚(ほぼ絶縁状態だった)です。
▼彼の生前
- 花火大会や居酒屋のデートなどに8割ぐらいついてくる
- 自分の誕生日を祝ってもらっているのにもかかわらず、私のみならず息子の誕生日も忘れている
- 「こんなに(息子たちのこと)大事に育てたのに私は報われなかった」と私に対して言う
- 息子たちに「旅行先でのプランを提案してもどうせ却下されるから提案する気が起こらない」と思われている
- ↑の結果、観光地で「楽しまないなら帰ったら!?」とヒステリックになる
- こちらの都合が悪いと言っても盆正月に帰ってこいと要求する
▼長男夫婦関連
- 初顔合わせで「おめでとう」を一切言わずに「いつ同居してくれる?」を繰り返す
- 我々には祝金などを渡してきたが、長男夫婦にはそのようなものを一切していない
- 長男の悪口をその嫁に言う(3男はあんなに可愛いのに長男は…みたいな)
- おそらく長男夫婦が自分の思い通りにならないから我々に結婚式や孫を要求してきた
▼彼の死後
- 「前々から気に入らなかった」といった暴言を彼を亡くしたばかりの私に浴びせる
- そもそも息子を愛してくれた相手に対する感謝や敬意の一つもない
- 遺産が100万もなく、社会人1年目の私に葬儀費用を全額払わせようとしていた(ちなみに葬儀のランクは「ちゃんとしたお葬式」ができる最低ランクのものだが、精進落としはそれなりに高いものを選んでいた)
- 葬儀で姑と話した友人曰く「なんでも話してと言いながら探りを入れているように感じて不快」
- 納棺の際に「故人様に触れるのはこれが最後です」と言われたのに、その後に触る
- 葬儀でお坊さんが唱えたお経が気に入らないと、彼の棺の前でケチをつける
- ↑の時に位牌にもケチをつけていた
- 彼が死を選んだ理由について、兄弟たちがいくら言っても聞き入れようとしない(要は「お前が息子を殺した」状態)
- 彼が死ぬまでの詳しい状況をコメントしないから教えてほしいと要求し、父が教えたら案の定攻撃してきた
- 身内に相談せずに、喪主を四十九日に呼ばず、かつ相続放棄を提案してくる
残されたものは虚無感と山積みのタスク
さて、ここからは人が自殺したらどうなるかっていう話に戻るのですが…
婚姻関係にある以上、配偶者が相続や、契約していたものの各種手続きをしなければなりません。
彼が亡くなる少し前から私の鬱が悪化しており、家のことも満足にできない状態でのパートナーの死。
人が死んだときの手続きって、期限が決まっているものも多いので、休みたくてもそうは言ってられません。
しかも、悪いことに彼は口座を7つも持っており、遺書すら残さずに死にました。
つまり、遺産についてどうするかあの姑と相談して、7つある口座の残高証明を全て取り寄せなければいけない。
経験した方ならお分かりかと思いますが、とにかくこの手続きが面倒極まりないんですよね。
他にもクレジットカードの解約(大抵電話が混み合ってて繋がらない)や、奨学金の支払いの免除申請などなど…自殺するっていうのはその辺の手続きを残された一番近しい者に丸投げするってことなんです。
やってる方は虚無です。
自殺する人にそんな余裕がないのはよく分かってはいるんですが、マジで死ぬのはそういうの解約してからにしてくれって言いたくなります。
せめて遺書を書いてほしかったなぁ…
現在進行形で、今でも手続きを進めています。
タスクが多すぎて吐きそうです。
時間が経つにつれて真相が見えてきた
大量の手続きを進めるのと並行して、ずっと考えていたのはやはり「なぜ彼は死んでしまったのか?」ということです。
私が鬱や発達障害で負担をかけたんだと思われてましたが、実際のところ、発達障害に関してはうまく生活できるように2人で考えてこなしていましたし、鬱についても「苦しければ一時的に距離を置いてもいい」と逃げ道は作っていました。
逆に、私は自分の鬱の対処法を長年の経験で身につけていたので、彼が苦しい時に助け舟を出す側になっていました。
そんな彼の苦しみは、大半が「自分は誰にも求められない、認めてもらえない」というものでした。
それに加えて、彼は自分の強みを「当たり前のこと」として認識しており、全く誇りに思っていませんでした。
最近私と遊んでいる人はご存知だと思いますが、私がスプラトゥーンの指導をするようになり、一定の評判を得るようになってきました。
それを横で見ていた彼は、自分も教えてあげたいけど、あまりうまくいかない…と、どうやら私と比較し落ち込んでいたところがあったようです。
自分の強みを全く評価できない上に、自分より何かが優れている人と比較し自己否定する…そんな人が壊れてしまうのは時間の問題でした。
しかも、彼は負けず嫌いが高じて、ゲームの勝利に過度に固執し、それがうまくいかなかった時に癇癪を起こす人でした。
もはや、ゲームで勝利することでしか自分の価値を見出せない状態に陥っていたと言ってもいいでしょう。
最後には、人への興味関心がなくなるまで疲れ果て、どれだけ私が「あなたのことを愛している、必要としている」と説こうと届かないような状態になっていました。
このままでは、共倒れ…つまり、彼が死んでしまうかもしれない。
そこまで分かっていながら、私は自分がうまく立ち回ればきっと回復できると思っていました。
でも、現実は甘くはなかった。
これまでに何度も彼と同じように人の想いが届かないような精神状態に陥り、何度も死を選びかけながらも生きている私が異常に強すぎたのだと、彼を失って初めて知りました。
人への関心がなくなるのは、異常です。
愛しているはずの人の想いも届かなくなるんです。
そうなると、閉鎖病棟レベルの荒療治でなければ、救うことができなくなるんです。
どんなに愛し合っている人でも、愛がわからなくなって死ぬんです。
「残された者」の立場としてどうしても伝えたいこと
長い上に重い話をここまで読み進めてくれた皆さん、ありがとうございます。
最後に、どうしても伝えたいことをまとめさせてください。
1:自殺すると、死んだ後の手続きを「あなたを一番大切にしている人」がしなければならない
2:自殺すると、「あなたを一番大切にしている人」が賠償をしなければならなくなる可能性がある
3:パートナーがいた場合には、パートナーが自分の親に「お前が娘・息子を殺した」と言われる可能性がある
4:せめて契約しているものを解除し、遺書を書いてから死ぬこと
5:親が子離れできていない場合は、速やかに逃れること
6:日常生活に支障をきたすほどの趣味は、付き合い方を改めて考えること
7:自分の良さは、自分だけのものだと誇りにすること
8:人への関心がなくなった、人の声が届かなくなったと少しでも感じたら速やかに病院へ行くこと
9:どれだけ愛し合っていても、人は死ぬときは死ぬ
以上です。
みなさまがこれからも幸せでありますよう、心からお祈りしております。